随に

まにまに

向き不向き

 

入院するに当たり、夫ひとりに子を丸二日間以上任せることになった。

産院を退院して以降、子と離れた夜はなかった。はじめての父子だけの暮らし。

内心わたしは、ニヤリとしていた。

子と離れるのはさみしいけど、今までわたしがワンオペでどれだけ大変だったのか、身に染みてわかりやがれ!!と夫に対して思っていたのだ。退院した時には、果たして夫から何を言われるだろう、とも思っていた。

 

病院まで迎えに来てくれた夫は平常運転で何ら変わらなく、「大変だった」の「た」の字も無かった。

なぜ…「すごくいい子にしてくれてたから、大丈夫だった」と言う。「おかずもあったし」と。(外来受診で入院日程が決まった時点で、保育園お迎えの時間ギリギリまでセブンイレブンの冷凍冷蔵のお惣菜を買い込んで帰ったのが仇となった)

 

毎朝わたしが焼いている卵料理も省略し、洗濯機は回せたけど洗濯物は一度も畳んでない(わたしは一日二回まわすし、洗濯物を翌日に残さない)、部屋は(おそらく)散らかしたまま、人数が少ないのもあるけど食洗機稼働も一日一回のみ(わたしは三回)。

それでも、それでも、夫は気にならないのだ。

「ああ、できなかったやー」で、気にしないのだ。

わたしが帰宅することが確定していた安心感もあるのだろう(わたしが帰ったらやればいいからね…)。

 

自分は夫よりも主婦スキルがあると思っていたが、夫の方が主婦・育児に向いている。今回の件で、そう感じた。

 

家事や育児は圧倒的にわたしの方が経験値が高い。これは変わらない。だのに、夫の方が主婦に向いているのだ。

なぜか。

「気にならない」からだ。

子が栄養バランスの取れた食事を摂れなくても、畳んでいない洗濯物や洗っていない食器が溜まっても、部屋がいくら散らかっても、掃除しなくても、気にならない。夫にとって、さほどの大事ではないのだ。

 

わたしならば、部屋が散らかれば片付けないことには寝覚めが悪いし、シンクに食器が溜まっているだけでストレスを感じる。洗濯物が放置されているのなんて、心にわだかまりがあり過ぎて耐えられないし、子にはタンパク質もビタミン・ミネラルも摂取してほしい、できるだけ楽しい食卓にしたい。理想が高いし、減点方式でいくらやっても「これができなかった」となるのだ。

夫は全く逆。

できなかったことを悔いてストレスを感じることなど皆無のように見える。

そうだ、その調子だ。それで家事育児をやればいいんだー!!!てか、おまえさんが育休取って子を育てらばよかったんだよ!!!!!!と思ったし口に出した。

 

全くこの一年半以上、わたしが毎日まいにちあくせくと育児をがんばり、その合間合間に家事をこなして途中からは仕事までして日々をやっとのことで乗り越えていたのに、夫ときたら……

 

見習いたくもあり、呆れる思いもあり、保育園のお迎え時間も迫っているのもあり、これにて終幕。